世界の風呂敷文化。日本だけじゃない“四角い布”の魅力
風呂敷は日本独自の文化と思われがちですが、実は世界各地にも“四角い布”を活用する文化が根付いています。生活に合わせて形や用途を変え、長く受け継がれてきた布文化。その背景には、それぞれの地域の気候や風習、人々の暮らしが反映されています。今回は、日本の風呂敷を起点に、世界に広がる“四角い布”の文化とその魅力をお伝えします。
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日本の風呂敷と包む文化の原点
風呂敷は、日本で長く親しまれてきた“包む文化”の象徴です。室町時代には湯屋で衣服を包む布として使われ、「風呂敷」という名称が生まれました。江戸時代に入ると、商人や庶民の間で荷物を運ぶ手段として普及し、現代ではエコバッグやラッピング、ファッションアイテムとして再注目されています。
風呂敷の魅力は、サイズや用途を自由に変えられること。大きな荷物を包むだけでなく、小さな贈り物を上品に包むこともできる、まさに“変幻自在”なアイテムです。
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韓国のポジャギと中国のバオフー
韓国には「ポジャギ(보자기)」という伝統的な布文化があります。ポジャギは、日本の風呂敷と同じように物を包む布で、特徴的なのは、カラフルな布をつなぎ合わせたデザインです。これは、韓国の伝統的な裁縫技術であり、美しく縫い合わせることで長く使い続ける工夫がされています。
また、中国では「バオフー(包袱)」と呼ばれる包み布があり、贈答品や貴重品を包む際に使用されます。特に、伝統的な婚礼の贈り物や祭事の際に活用され、包むことで「福を閉じ込める」という意味合いも込められています。
インドのサリーとカンボジアのクロマー
正方形ではないですが、インドの「サリー」は、女性の民族衣装として知られていますが、単なる衣服ではなく、赤ちゃんを包む布や荷物を運ぶ際の結び布としても使われます。細長い布を巧みに折りたたみ、多目的に利用する文化は、風呂敷と共通する点が多くあります。
カンボジアの「クロマー」も同様で、頭に巻いたり、荷物を包んだり、ストールとして使ったりする万能な布です。シンプルな形ながら、その使い方は無限大で、カンボジアの人々の生活に深く根付いています。
中東・アフリカの“四角い布”文化
中東では、「シェマーグ」と呼ばれる大判の布があり、頭に巻いたり、荷物を包んだりするために使われています。特に、砂漠地帯では直射日光を防ぐために頭に巻くスタイルが主流ですが、実は風呂敷のように荷物をまとめる用途にも活用されています。
また、アフリカでは「カンガ」という布があり、女性たちはこの布を腰に巻いたり、赤ちゃんをおぶったり、食材を包んだりと多用途に使います。地域ごとに異なる模様や色彩が施されており、デザイン性の高さも特徴です。
風呂敷の未来。
世界共通のサステナブルな選択
日本の風呂敷だけでなく、世界各国で活用される“四角い布”文化。これらの共通点は、環境に優しく、繰り返し使えることにあります。近年では、風呂敷が「サステナブルなアイテム」として海外で注目され、特にエコ意識の高い都市ではギフトラッピングとしての需要が高まっています。
ニューヨーク・タイムズでも、風呂敷が「繰り返し使えるラッピング」として紹介されるなど、海外市場でもその価値が再評価されつつあります。これからの時代、使い捨てではなく、長く使えるアイテムとして、風呂敷をはじめとする“四角い布”の文化が世界中でさらに広がっていくことでしょう。
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風呂敷は、日本独自の文化でありながら、世界に共通する「包む文化」の一部です。韓国のポジャギ、中国のバオフー、インドのサリー、アフリカのカンガなど、各国にはそれぞれの暮らしに合った“四角い布”の使い方があり、世代を超えて受け継がれています。
現代では、エコ意識の高まりとともに、風呂敷を含めた包む文化が世界的に再評価される時代となりました。これからも、風呂敷を通じて、日本と世界の文化をつなげる活動が広がることを期待したいものです。
by Furoshiki Mignon