Furoshiki Mignon

風呂敷はほんとうは正方形ではない

 

実は風呂敷は正方形ではない

ふろしきはどんな形をしているかをたずねると、多くの方は「四角」または「正方形」と答える。おおむね正しいが、正確には完全な正方形ではなく、縦横のどちらかが長いことは、知らない人も多いだろう。
実際に、風呂敷を三角にして風呂敷の角どうしを合わせてみてほしい。
ピッタリと重ならないことに気づくはずだ。

 

風呂敷には縦と横がある

では、どちらの方が長くなっているのだろうか。そもそも、どちらが縦で横方向なのか、見た目では分かりづらい。布の織り幅がそのまま耳として残っていれば、左右の耳をつなぐ向きが横と分かる。そうでない場合は、引っ張ってみればよい。伸びのよい方が横で、縦はすこし突っぱる感じがある。

風呂敷は、お弁当を包むときのように、対角同士を結ぶことが多い。対角を引っ張ると斜め方向のバイアスの伸縮が生じ、使いやすい。でも、様々な結び方の中には、2つの持ち手つきのバッグにするときなど、隣の角と結ぶこともある。

そのとき、横方向であればまだよいが、縦方向の隣り合う角を結ぶ際、生地が伸びない分結びにくかったり、足りないおそれがある。また、横で結んでも、縦側の空きが減り、いずれにしてもやや不便が生じる。

 

風呂敷の縦と横では長さがちがう

そこで、伸びない分、縦を横幅より3%ほど長く作ることで、はじめて横と対等な感覚で使用できる。碁石が、黒い石は小さく見えるため、白よりも若干大きく作るというのにも少し通じるが、風呂敷の場合は実際の使い勝手に関わる。
風呂敷をお持ちの方は、角同士を合わせてみてほしい。三角に重ねてみると全体がピッタリと重ならないのが、本当の風呂敷である。

 

 

正方形でも問題はないが・・・

しかし、たとえぴったりの正方形、または逆にすこし横長であったとしても、風呂敷としては十分に使える。それよりも重要なのは、サイズと、生地の厚みのバランスのように感じる。小風呂敷が厚いと結びにくく、大風呂敷が薄過ぎると重い荷物に負けてしまう。結びやすく、かつ丈夫さを備えた生地を選ぶことが望ましい。

 

一番、大切なこと

さらにもっと大切なのは、好きな生地をえらぶこと。ただ持っているだけできもちが上がるような風呂敷であってこそ、積極的に持ち歩き、使いたくなるはずだ。使い捨てずに一枚を多様に使いまわせる風呂敷は環境にやさしいといわれるが、我慢のエコではつづかない。好きな風呂敷で日々を便利かつ心豊かに送り、結果的に物を大切にする暮らしにつながっているようなのがすてきだ。

 

 

written by Furoshiki Mignon

 

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