Furoshiki Mignon

風呂敷は本当は正方形ではない?

風呂敷といえば正方形というイメージが一般的ですが、実は厳密には正方形ではありません。多くの風呂敷は、横幅に比べて縦の長さが約3%ほど長く作られています。この微妙な違いは、伝統的な機織り技術と布の特性に深く関係しています。

 

 

なぜ風呂敷は正方形ではないのか?

機織りの際、縦糸はピンと張った状態で織られますが、横糸はその間をくぐらせながら織られていきます。そのため、布は縦は固定されていますが横方向に引っ張るとわずかに伸びる性質があります。特に天然素材の綿や絹を使用した風呂敷は、この伸縮性が顕著に現れるため、製造段階であらかじめ縦を少し長めに作ることで、使用時により正方形に近づくよう工夫されているのです。

 

 

職人の知恵が生んだ工夫

この工夫は、日本の職人たちが長年の経験をもとに生み出した知恵のひとつです。例えば、風呂敷を広げて物を包むときに、布が歪んでしまうと美しい仕上がりになりません。縦を長めにすることで、横に引っ張られてもバランスよく形を整えることができ、包む動作がスムーズになるのです。

 

 

現代では正方形の風呂敷が主流に

しかし、現代ではこのような配慮があまりされなくなり、正方形の風呂敷が多く見られます。量産が進む中で、伝統的な製法が省略されることも増え、本来の3%長い縦のバランスを持った風呂敷は少なくなっています。しかし、昔ながらの風呂敷こそが、職人の工夫が詰まった本物の風呂敷と言えるのです。

 

 

風呂敷を選ぶときに意識したいこと

この特性を知っておくと、風呂敷を選ぶ際にも役立ちます。例えば、デザインを楽しむために正確な正方形を求める場合は、広げた状態で縦横の比率を意識すると良いでしょう。また、包む際にどの方向に伸びやすいかを考慮することで、美しく仕上げるコツがつかめます。

 

 

伝統技術を未来へ

風呂敷は単なる布ではなく、日本の伝統的な工夫や技術が詰まったアイテムです。その見た目のシンプルさの中に、職人の知恵や繊細な計算が隠されていることを知ると、より一層風呂敷の魅力を感じられるのではないでしょうか。伝統的な作りの風呂敷を選ぶことは、昔ながらの職人技術を未来に繋げる大切な行動でもあります。

 

 

by Furoshiki  Mignon

 

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